湾から出ると思ったより左斜め方向からの追風が強く進路を保てません。左右均一に漕ぐためにラダーを降ろしました。ラダーのおかげで艇が回されることは無くなりましたが、それでも沖方向に流されて行きます。(その時点では気がついていないんですが)
正面遥か彼方に亀城の灯台が薄っすらと霞んで見えています。その瞬間「亀城まで行こう」とまたしてもうっかり思ってしまったのです。
海上に道はありませんから、とにかく灯台を目指して漕げば良いわけです。・・・が、
ちょっとドリンクタイムで停まっている間に灯台の影を見失ってしまいました。「アレッ?」と思い前方を探すと、それらしき影が薄っすらと確認出来たので、その影を目指して漕ぎ進みます。
ところが、灯台が段々沖へ移動しているような気が・・・・? あっ!あれはヨットのセールかも?
そういえば陸がずいぶん遠くなっているし・・・。
普段遠くから見る亀城灯台は陸地からかなり沖に見えているんですが、自分が沖へ流されたため後ろの陸地にかぶってしまい春霞と相まって見失ってしまったようです。
陸方向に灯台を確認。まずは陸地に近付かねばと風に向かって漕ぎますが、漕いでも漕いでも陸が近付いてきません。でも全く進んでいないわけでも無さそうなので、「向かい風の時ほど力を抜いて・・・」という師匠の言葉を思い出して出来るだけ肩の力を抜いて楽に漕ぐ事を心がけます。
亀城の灯台もシルエットからだんだんと細部も確認出来る大きさになってきました。
もう少しなんですが灯台との間に定置網があって迂回しなければなりません。もうかなり疲れてきたので灯台はあきらめてUターンする事にしました。
帰りは風を避けて岸沿いを漕ごうと、陸に向かって漕ぎますが、またしても定置網が進路を阻みます。
仕方ないので、帰りも長者の岬を目指して直線的に沖を漕ぐことになってしまいました。
よりによってちょうど干潮時で岬もかなり大回りしなければなりません。ようやく出艇場所の浜が見えるところまで戻ってきました。「アレッ」浜に見たようなカヤックが2艇。師匠とK田さん?・・・時間からするときっと食事中でしょう。いつもの岬の上の食堂が見えますが、もちろん中までは見えません。試しにパドルを上げて大きく振ってみました。すると窓が開いて誰かが手を振っています。顔は確認出来ない距離ですがたぶん師匠かK田さんです。
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